特集「ふくいに生きる。ふくいで活きる。」

2018.04.08【特集】作家じゃない。作品じゃない。 -異色の壁画仕掛け人、DAISUKEの生き方-【後編】

プロフィール

DAISUKE

福井市出身。
土木業に従事していたが、10年前に絵描きに転向。以来、ストリートにこだわりながら「写真を撮りたくなる壁画」を描き続け、地域の活性化につなげている。


――それにしても、無償で絵を描き続けるのは大変な苦労があると思います。その原動力はどこから来るのでしょうか。

 

今は壊されてしまいましたが、以前、ガレリアスポットという場所に、ボブマーリーの大きな壁画を描きました。あの絵は市から多少の助成金をもらって描いたものだったのですが、その絵をすごく気に入ってくれた人がいて、「つらいことがあると、夜通しこの絵の前で過ごすんですよ」と言ってくれたのです。自分の絵が誰かの心の拠り所になっていると知り、感銘を受けました。そういう「誰かのためになった」実感の一つ一つが、絵を描き続ける理由になっています。

――今描いている絵も、いずれ壊されてしまうのが残念ですね。

 

いや、いいんですよ、壊されても。私自身は、自分を作家だと思っていません。描いた絵を作品だとも思っていません。そういうお堅いものではなく、子供が通学するような道に面白い絵があること、私が描いている姿そのものを「見せて」いくことが大事だと思っています。そこから人と人との交流が生まれるのが目的なんです。それがストリートにこだわる理由です。

 

――それは、きれいなビルをたくさん建てるような再開発とはまったく違う視点での活性化ですね。

 

そうですね。自分のやっていることは、街に疑問をぶつけてみることなのかなと思っています。先日、絵の前で写真を撮った高校生たちが、写真を撮ったらすぐに表通りに戻っていってしまうので、「あっちの裏通り、行ったことある?いろんなお店があるんだよ」と声をかけてみたのです。すると「えっ、お店があるんですか!あっちの道は怖いイメージがあるから行ったことなかったです」と。ショックでしたよ、道1本向こうに広がっている自分たちの街を、知らずに避けているなんて。どうすればみんなにもっと街歩きを楽しんでもらえるか、導線を作っていけるのか。最近はいつもそればかり考えています。それにインスタ映えもそのうち飽きられるでしょうし、インスタ映えの次に何が流行るだろうかというのもいつも考えていますね。

 

――街にとってはDAISUKEさんのような方がいるのはとても心強く感じます。一方で、最近の一連の壁画が無償であるというのは、やはり生活の心配もしてしまいます……。

 

普段はちゃんとお金をもらって描いていますよ(笑)。あ、それと私、土木の仕事をしていたので除雪機を動かせるんです。今年は昔いた会社から応援要請がたくさん入って、除雪ばかりしていました。豪雪で大変でしたが、仕事にはなったかな。

 

――除雪!そっちでも街のヒーローだったのですね!北陸民を代表して御礼申し上げます。今日は本当にありがとうございました。

 

 

 

取材・執筆  吉田 郁
DAISUKE

福井市出身。
土木業に従事していたが、10年前に絵描きに転向。以来、ストリートにこだわりながら「写真を撮りたくなる壁画」を描き続け、地域の活性化につなげている。

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