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【特集】出会いの奇跡が夢をつなぐ、 こどもミュージカル「たけのっ子劇場」(たけのっこ劇場代表 大谷由紀子さん)

プロフィール

大谷由紀子(たけのっ子劇場 代表)

越前市出身。㈱タマヤでパート従業員として働きながら、越前市(旧武生市)に拠点を置く「劇団たけぶえ」から派生したこどもミュージカル劇団「たけのっ子劇場」の代表、および脚本・演出・衣装制作を担当する。その他、丹南ケーブルテレビの住民リポーターや、「大谷宗由」の名で裏千家茶道の講師をおこなうなど幅広く活動している。

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――大谷さんは、こどもたちが演じるミュージカル「たけのっ子劇場」の代表をされているということで。生計をたてるための、いわゆる「仕事」とは別にこうした活動をされているというのがすごいバイタリティだなあと思い、今日はお話をうかがうのを楽しみにしてきました。そもそも大谷さんご自身もミュージカルをされていたのでしょうか?

 

 いえいえ、普通の主婦でした。たけのっ子との出会いのきっかけは、洋裁教室でして。

 

――洋裁教室??

 

はい。洋裁を習っていたんです。そしたらその先生のところに、当時たけのっ子劇場を主催していた「劇団たけぶえ」から「第七回たけのっ子劇場の公演の衣装を作ってくれないか」と制作依頼が舞い込んで、私も衣装係としてお手伝いすることになりました。さらにはうちの娘も「劇に出てみたい」というので、親子で入団しちゃいました。

 

 

 

――へえ、衣装係兼団員としてのスタートだったんですね。代表になられたのは、いつ頃なのでしょう?

 

それが、かなり急なんですが、入団の翌年に代表になりました。というのも、私と娘が入団した翌年に、劇団たけぶえが「もう、こども劇団はやめようと思う」というんですね。

 

――なんと翌年に。

 

そう。で、「それはもったいない!」と当時の保護者たちと共に立ち上がり、たけのっ子劇場をもらい受けたというのが経緯ですね。

 

――すごい。もったいないと思っても自ら立ち上がってもらい受けるというのは、なかなかエネルギーのいることで…….

 

大変なこともありますが、それ以上に楽しいからできています。もらい受けた当時のメンバーは、もう私と会計さんの二人しか残っていませんが、今は今で新しい保護者の方や、元たけぶえの方、ボランティアの方などとても多くの方がかかわってくれて活動しています。そのほかにも、振り付けや歌唱指導、技術スタッフに大道具にと、たくさんの外部の方に協力していただいてたけのっ子劇場は成り立っているんですよ。

 

 

――忙しい大人たちがそれだけの人数、労を惜しまず集まってくるというのは、たけのっ子劇場が地域にとって大切な場所だと認識されているからでしょうね。今、こどもたちのほうは何人くらいいるんですか?

 

5歳から19歳まで、約40人のメンバーがいます。

 

――まとめるの、なかなか大変じゃないですか?

 

たしかにこれだけの人数がいると、意見の食い違いもあるし、ケンカもあります。ですが、たった一日の本番のために協力し合う仲間ができるというのはこどもたちにとっても保護者さんたちにとってもかけがえのない経験なのではないかと。ですから、目標は「本番」なのかもしれませんが、大切なのはその目標の日までみんながどう過ごしてきたかなんだと思っています。  

 

 

――学校でもない、家でもないところで、そういう経験ができるというのがすごく素敵ですね。いろんな意味で、救われている子もいるような気がします。  

 

学校で嫌なことがあっても、たけのっ子にも自分の居場所がちゃんとあるという存在であり続けたいですね。「たけのっ子の練習日が待ち遠しい」と言われることが喜びの一つです。あと、最近「たけのっ子劇場の歌」をつくったのですが、この歌を通じて現メンバーや卒業していった子たち、新しく入ってくる子たち、保護者たちがつながって、歌を聞いただけで「ふるさとに帰ってきた」ような気持ちになってもらえたらなぁと思っています。

 

――いいですね。何年も続けている子も多いんですよね?

 

多いです。最初は周りに助けてもらわないとセリフが言えなかった子が、今はほかの子を助けてあげていたり、舞台の使い方や自分の見せ方をよくわかるようになっていたりとぐんぐん成長していくのを見られることは、私の最大のやりがいと言ってもいいかもしれません。  

 

 

――まさにタケノコのように、ぐんぐんと成長していくんでしょうね。それにしても、舞台衣装も大谷さんが一人で40人分作っていらっしゃるんですよね。そして脚本まで書いて……。通常のお仕事の傍ら、信じられないエネルギーです。

 

 あはは(笑)。いや、でも、衣装に袖を通したときのこどもたちの顔、たまりませんよ。それに自分の考えた物語に、曲が付き、踊りが付き、たくさんの子供たちの力で映像化していくという、この夢のようなことの実現。みんなが、私の「紙に書いた作品」に命を吹き込み、立体になっていく感動。こんな経験ができる私はなんて幸せ者なんだろうと思います

 

 

――……何と言いましょうか。お話を聞いていて私が強く感じるのが、大谷由紀子さんという一人の人を存分に生かせる場所が「たけのっ子劇場」なんだなと。単に「とても大変な役割を、地域のこどもたちのために担って頑張っているスゴイ人」ということではなくて、これは大谷さんにとって一種の天職(職ではないのかもしれませんが)みたいなもので、そこからご自身も生きるエネルギーをもらっているような相互の関係にあるんだなと感じました。とはいえ、本当にすごいコミットメントだと思います。最後に、福井の女性たちにメッセージをもらえますか?

 

働く女性、特に子育てしながら働く女性の多くは、目の回るほど忙しい日々を送っていることと思います。そんなとき、大きなチャレンジはなかなかできなくても、日常の中で普段行かないところにちょっと足を延ばしてみるだけで、思いがけない出会いや発見があったりするのだと思います。私にとってそれは「洋裁教室」で、そこから私のたけのっ子人生がスタートしました。

 

――まさか洋裁教室の生徒からミュージカル劇団の代表になっていくとは、お話を聞くまで想像していませんでした。

 

そうですよね。あの人に出会わなかったら今の自分はない、という人が、何人もいます。出会いは奇跡ですね。たけのっ子の子たちにも、「たけのっ子がなかったら出会わなかった友達がたくさんいるよね。大事にしてね」という話をしています。こうしたことはきっと、こどもだけじゃなく、大人にも言えることではないかなと私は思っています。

 

――大谷さんのそうした前向きな感性があってこそ、人が集まって、たけのっ子の活動がこれだけ長く続いてきたんだろうなと確信致しました。ちなみに今年の公演は12月15日、越前市文化センターの大ホールでおこなわれるそうです。これを読んだ皆さん、ぜひこどもたちの雄姿を見に行ってみてください!今日はありがとうございました。

 

こちらこそ、ありがとうございました。  

 

 

<たけのっ子劇場の情報はこちらから>

http://www.geocities.jp/takenokko5/TMS/enter.html

※2019年の公演は、12月15日に越前市文化センター大ホールにておこなわれます。    

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