特集「ふくいに生きる。ふくいで活きる。」

2018.12.10【特集】くらしくふくいコラボ企画 × 学生による「福井で活きる素敵なお店取材!!」 第二弾!

本日は、テリフリのオーナー二木繁樹さんにお話を伺いたいと思います!

 

 

 

 

-お店に入った瞬間からこだわりを感じられるお店ですね! まずは、お店をはじめられた経緯をお聞かせいただけますか?

 

 

(二木)そうですね。もとは印刷会社でデザイン等の仕事をしていました。 

独立後、拠点をギャラリー的なスペースにしたいと考えていました。そして今の雑貨屋に至っているって感じですかね。

 

 

-納得できます!お店に入った瞬間から、内装や商品の陳列など、雰囲気がギャラリー的だったんです。

だから、この空間で商品を見ているだけで、こんなにも落ちつけて、素敵な感じがしていたんですね。

商品はどういった物を扱っているのですか?

 

 

(二木)野田琺瑯や高田耕造商店、中川政七商店といった、生活雑貨を主に取り扱っています。

デザイン性もですが、やはり、実際の使い心地や性能の良さもお薦めできるところかと思います。

 

 

-そうですよね。ここから拝見しても、見た目はどれも素敵な感じですが、実際使ってみて不便だったら悲しいですもの(笑)

 

 

(二木)そうですね。うちのお客様は7、8割が女性の方で、キッチン用品や生活・暮しの雑貨を扱っていますので、

実際女性が使いやすく、それでいてキッチンに置いておきたくなるような物を揃えています。

実際使っていただき、「購入して良かった!」とか「使いやすい。」っていうお声を聞くと、本当に嬉しいです。

 

 

-話は変わりますが…開業されて、良かったことや大変だったことなど教えていただけますか?

 

 

(二木)当たり前なことですが、良いも悪いもすべてが自己責任ってことですかね。

新たな商品で納得できる物を仕入ることも大変ですが、体調を崩しお店を閉めれば売上がなくなるのも当然です。

でも、実際納得できる良い商品を仕入れ、お客様に喜んでいただけるという喜びも感じられる。

ある程度自由も効きますし、県外のイベントに一緒に参加したりと、家族との時間を作ることも増えました。

 

 

-では、今後の展望や夢をお聞かせください。

 

 

(二木)なんとか5年継続できたので、長く続けていくことですかね。

もちろん、良い商品を多く使っていただきたいですし、県外からもお客様がいらっしゃいます。

なので、いろんな人と会いたいですね。楽しみながら、少しずつ…。

自分が楽しくなければ続かないですし…なるべく辛いことはやらない方針で(笑)

 

 

-大事ですね。やっぱり楽しみながらっていうのが、長続きするコツですもの。私も社会に出ても、一つの教訓として、胸に留めておきたいと思います。最後に、お薦めの商品を教えていただけますか?

 

 

(二木)そうですね~。「ゑびやのおだし」とかはどうですか!そろそろお鍋の季節ですし、三種類のだしパックで、使いやすいと思いますよ。

もちろん美味しいですし。

 

三重の伊勢の商品ですね。http://www.ise-ebiya.com/

 

 

-食器や料理用品もですが、食材もこだわっている感じがします!

本日はありがとうございました。

 

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2018.12.03【特集】くらしくふくいコラボ企画 × 学生による「福井で活きる素敵なお店取材!!」第一弾!

本日は、くらしくふくいに何度か登場していただいている、きものもたはんの酒井康輔さんに改めてお話を伺いたいと思います!

 

 

 

 

-4代目とお聞きしました。代々家業を受け継いでおられるわけですが、酒井さんは、幼いころからご実家を継ごうと考えておられたのですか?

 

 

(酒井)いやあ、実は継ぐ気はありませんでした(笑) 就活に際して、銀行への就職を考えていて、内定も頂いておりました。ただ、思い立って全国チェーンの大手呉服店への就職の道を選びました。

 

 

-?!正直意外でした?! 最初は別の業種を選んでいたんですね。

 

 

(酒井)けれど、実家が呉服屋ですし、長男として将来の道を残しておきたいって気持ちが出てきまして、気づいたら就活サイトで「呉服屋」を検索していました。優柔不断なもので…(笑)

それに、実家が着物屋なのに、その仕事をあまり分かっていないことに気付きました。それで、「呉服屋がどんなものか知ろう」と自分から呉服業界を選んで進もうと考えましたね。

 

 

-呉服の世界に飛び込んでみて、いかがでしたか?

 

 

(酒井)お客様も良い方たちばかりでしたし、仕事をするうちに、着物ってかわいいなあ!こういう仕事ならやっていきたいなあ。と思うようになってきたんです。僕、かわいいものが好きなんですよね(笑)

 

 

 

 

-(そうおっしゃっている酒井さんがカワイイ…)

そうしてご実家を継ぐことになるのですね。

 

 

(酒井)はい。結婚を考えるタイミングで福井に帰ってきました。

帰ってきて地元の友人に会ったとき、みんな「福井には何もないよね。」と言っていたんです。

それがとても寂しく感じました。と同時に、福井のことをあまり知らないからそう思うのだろうなあと思いました。

 

 

-確かに…。 福井にもきっと見るといいところがいっぱいあるはずなのに、私も「福井は何もない。」って言いがちです。

 

 

(酒井)僕はね、「福井は何もない。」そういうイメージをひとつひとつ変えていきたいです。

考え方が変わらない限り、その人も地域も変わらないと思うんです。

そういう、“変わらない” を “変える”ために、「発信」し続けることが大事だと思っています。

 

 

-かーーーっこいいですね! 具体的に何をされていますか?

 

 

(酒井)今は、まちづくりに積極的に参加しています。 

例えば、今年の夏には中央公園での「できるフェス」というイベントに参加しました。

行政に頼らず、民間だけで、自分たちでできることをやってみよう!という意味で「できるフェス」です。

準備は正直大変ですが、訪れる方々が喜んでくださる姿を間近で見られたり、終わった時に大きな達成感があり、とても楽しかったです。

https://www.facebook.com/dekirufes/

 

 

-福井でそんなイベントがあったなんて知りませんでした。それに、そういったまちづくりに着物屋さんが参加しているのも驚きです。

“何もない“とよくいじられる福井に、新しい何かが生まれるイベントになるし、様々な人が参加することで、新しい輪が生まれるきっかけにもなりそうですね。福井でこんなにワクワクすることが企画されているのも嬉しいし、まちづくりを通して着物が浸透していったら素敵ですね。

 

 

(酒井)そうですね。着物の固定観念って、とてもたくさんあります。謎の部分がすごく多いです。

例えば、「着方が分からない!」とか、「お手入れってどうしたらいいの?」とか、

僕はそういう“イメージ”があまり好きじゃなくて…だからそれを、ひとつひとつ分かり易くしていきたいですね。

 

 

 

 

-言われてみれば、私もそういう考えを多少は持っています。

着物屋さんって敷居高いなあとか、入るからには買うこと前提なんだろうな、とか、思ってしまいます。

 

 

(酒井)でもそれを言うなら、洋服屋さんに入って、何も買わずに出てくることってありますよね?

 

 

-あります!よくあります。

 

 

(酒井)呉服屋さんもそうあるべきだし、気軽に入って見れるお店が福井にもっと増えるといいと思っています。

 

 

-その発想は新鮮でした。もともと着物って、私にとっては憧れの存在ですが、そうなっていったら、もっと親しみやすくなると思います。

 

 

(酒井)僕が以前仕事をしていた大阪では、日常的にカジュアルな着物を着ている人が多かったです。

僕自身も、着物や浴衣を着てお酒を呑みに行く友達がいました。

福井では、まだまだ着物を着て出かける人って少ないですよね。僕は着物でエルパでもバーでもどこでもいけるけど、普通の人はそうはいきません。

あっ!ここに同席されているくらしくふくい担当者のUさんとも浴衣で一緒に飲みに行きましたよ(笑)

 

 

-え!!(笑)

 

 

 

 

(酒井)今、個人で着物を着る人や着たいと思っている人が増えています。

ネットで着物が買えるようになって、リサイクルの着物だとかなり安く買えるので、着物を手に入れやすくなったおかげもあります。ただ、着方やお手入れの仕方が分からなくて、うちのお店での着方教室や、お手入れの相談などを利用して下さいます。

僕は、ネットの時代だからこそ着物を楽しんでくれる方同士の“リアルな繋がり”を福井で増やしていきたいし、「きものもたはん」がそういう繋がりを生む場所になっていけば嬉しいです。

 

 

-本日は、着物愛、福井愛に溢れる酒井さんに素敵なお話しを聞かせていただきました。楽しい時間、ありがとうございました。

 

 

 

http://www.motahan.jp/

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2018.11.25【特集】遠いインドの感覚を届ける 福井の小さな「実験室」(後編)

――前編では、インドでの生き方に魅了され、その「感覚を届ける仕事」がしたいと思われたところまで伺いました。結構、抽象的なものだと思うのですが、それが「布や工芸品の販売」という形に行きついたのはどうしてなのでしょうか。

 

インドで見つけた「感覚」は、インドの人たちの手仕事の中にちゃんと入っていると感じたんです。たとえばブロックプリント布(木彫のハンコでデザインを押して染めた布)の、そのズレやカスレの中に染めた人のおおらかさを見つけることができたし、ウッドブロックの癖のある線にも、手織布のゆらぎにも、なんとなくゆったりした「インドの心地よさ」が入っているように感じたんですよね。

 

 

――なるほど、目に見えるモノの中にちゃんと人の暮らしが息づいているのを、ご自身の感受性でキャッチされたんですね。そこから、輸入販売の仕事に着手された、と。

 

はい。まずはウッドブロックの工房で、自分のデザインしたウッドブロックを彫ってもらい日本に持ち帰ることにしました。それから毎年インドに1,2回行って、オリジナルデザインのウッドブロックやブロックプリントの布を工房でオーダーし、その布からお洋服や雑貨を作ったり、インドの手織りの布や工芸品などを仕入れてきて日本各地のお店さんと卸売や委託販売の取引をさせてもらったり、いろんな場所で展示会を企画して作ってきたもの、見つけてきたものを展示・販売したり。そんな感じで5年半になります。今では信頼できるインドの染工房の職人や布屋、私がインドに行けないときに動いてくれるスタッフなど、人との良い出会を重ね、徐々に生産体制を整えているところです。この仕事を始めて4年目に第一子が生まれたのですが、そこからは本当に現地スタッフがいないと仕事を進めてこられませんでしたし、出会いには非常に恵まれているなと感じます。

 

――お子さんがいると特に協力者の存在は心強いですよね。そういえば、旦那様のたいじさんも、今は一緒にインドのお仕事をされているんですよね。

 

はい。この仕事を始めて3年目に、たいじさんがそれまで勤めていたコンピューター関連の会社を辞めて、一緒に働き始めました。

 

――お店になっているこの物件も、お二人の手でリノベーションされたとか。

 

そうそう、購入したのは去年でして、住まい兼仕事場用にと。とても静かな場所で、町から程よく遠いのが気に入っています。もともと陶芸家さんの住まい兼工房だったのですが、そこに残っていたものを最大限に生かしつつ、また下地などは大工さんにお願いしつつも、できるだけ自分たちで手を動かして家づくりをしています。今は仕事の合間にウッドデッキを作っています。作りながら、考えながら、また作るというスピードが気に入っています。

 

 

――このお店の雰囲気と、商品と、人の雰囲気が絶妙にマッチしていて素敵です。「ここに買いに来る」ことが一つの価値になりそう。ちなみに、お仕事をされていて、いちばんやりがいに感じられるのってどんなことですか。

 

作ったものの反応をダイレクトに感じられることでしょうか。うまくいかなくて落ち込むこともありますが、それも含めて自己責任でやれていることで、自分の足で立って社会とかかわっている気がします。うれしかったことと言えば、オリジナルデザインの布に「生命の賛歌」という名前の布がありまして、これは命の事を考えてデザインしたものなんですが、この布で作ったお洋服を見て即決で買ってくださったお客様が「この洋服を着て入院します。手術に向き合う元気がもらえました」と言ってくださったことは、驚いたと同時にうれしかったです。

 

「生命の賛歌(手前)」

 

 

 

 

――それはすごくうれしいですね!

 

他には、仕事の時間を自由に組み立てられるので、遠くにいる家族が何か困っているときは、平日でも駆け付けられます。急に盲腸で入院した時や、産後の辛い時にしばらく近くに居てあげられることなど。さくらがきれいな時期は、たいじさんや福井の家族と一緒に「ちょっと午後から花見に行こうか」ってこともしばしば。

 

――家族・友人の一大事には駆けつける……さきほど聞いた「インド人の生き方」だ!(笑)。ところで、さきほどカフェの仕事がどうして苦しくなったのか今ではわかるということをお話されていましたが、そのあたりもう少し聞かせてもらえませんか。同じ「好きなこと」なのに、今の仕事とは何が違うんでしょう。

 

インドでの仕事は、真っすぐじゃないとできないんです。心にブレーキをかけたり、自分じゃない人、たとえばカッコイイ人とか、仕事のできる人とか、別の何者かになろうとしていると目の前の人とのコミュニケーションがうまくいかなくて、インドの心地よい感覚を見逃してしまうような気がするんです。だから、自分は自分のままでいいし、自分のままじゃないとできない仕事だと思っています。それに比べてカフェをやりたかった時は、憧れのカフェイメージがあって。それは、大人っぽくて、美しいカフェで。そういう、粗野な自分とはかけ離れたものになろうとしていたから苦しかったんだろうなと思います。ですから、「自分らしいカフェ」というものなら、いつかやってみたいとも思っているんです。粗野なカフェっていうのも、なんだか可笑しいですが(笑)。

 

――なるほど。自分と違うものになろうとしすぎて、苦しかった。これは結構、働き出したばかりの若い女性の中には、「私もそうかもしれないな」と思い当たる人がいそうですね。憧れを持つこと自体はいいことなんですけども、それで多少の無理が効く人もいれば、病気になっちゃう人もいるし、難しい。宜しければ、そんな悩みながら働いている女性たちに、何かメッセージをいただけないでしょうか。

 

もし、何か苦しいと思っていたら、自分が何に苦しいと思うか、何に心が動くかを感じて、心が動く方に動けたらいいな、と思います。動き続けていたら、いつか自分の道が見つかるかも。

 

――ツジさん自身、そうでしたもんね。

 

時間はかかりましたが(笑)。でも、心臓がドキドキするようなものに出会って、それをなんとか仕事にしたことで、超えなくてはならない壁が出てきたときや重要な判断を迫られたときにも自分を甘やかさずに乗り越えているような気がするんです。それに私のデザインを気に入って買ってくださるお客様や、協力してくれる一人ひとりに温かい気持ちやエネルギーをもらっているうちに、できない自分ばかりを責めていた時は見えなかった「出来ること」の扉がたくさん開いて、いつの間にか自分の足で立って社会と関われている実感があります。おかげさまでいつの間にか「幸せ」と思える生き方ができています。

 

 

 

――ちょっとずつ進んでいたら、いつの間にか、という感じなんでしょうね。そういえばdesign labo chicaという屋号ですから、ここはある意味「実験室」なんですよね。

 

はい。試行錯誤、実験の中から自分の答えが生まれると思っているので、実験室=ラボラトリーのラボにしました。最初から正解があるわけじゃない、ということでもあります。

 

――なるほど。非常に説得力があるというか、人生を通じて一貫した強いメッセージになっているなぁと感じます。あと、今日お話を伺っていて私は、人が一人で生きないこと、誰かと生きることの意味もすごく感じましたね。世の中便利になって、あまり他人と関わらなくても一応生きていけはしますが、働けない時期のツジさんを支えたたいじさんやそのご両親、インドで目にした人々の姿があって、心が動いて、そしてなんとか自分の道を見つけようとして頑張ったツジさんがいて。そういうものが折り重なって福井にこんな世界ができたことに何とも言えない素晴らしさを感じます。今日は本当にありがとうございました。年始からインドに一カ月行かれるとのこと、どうぞお気を付けて行ってきてくださいね!

 

はい!こちらこそ、ありがとうございました。

 

 

 

 

 

【お店情報】

店名 design labo chica(布と雑貨のショールーム)

住所 福井県丹生郡越前町小曽原54-43-11
TEL 070-4222-1458

URL https://www.design-labo-chica.com/
https://www.facebook.com/design.labo.chica

※平日予約制。土曜営業。日曜定休。

※イベントなどで閉めている場合もございますので、ご来店前にweb等でご確認ください。

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2018.11.19【特集】遠いインドの感覚を届ける 福井の小さな「実験室」(前編)

――早速ですが、ツジさんは広島県のご出身ということで。実は「くらしくふくい」のこの特集で、ツジさんのような「Iターン」で福井に移住された方を取材するのは初めてなんです。どういった経緯で福井に来られたのでしょう。

 

今の旦那さんである「たいじさん」に広島の大学で出会い、彼を追いかけてきました(笑)。

 

 

――なるほど、追いかけて(笑)。タイミング的には大学を卒業する頃でしょうか?

 

いえ、違います。包み隠さずお話すると、私は大学生の頃、ひどい鬱状態に悩まされていて、人生最大の暗黒時代を過ごしていまして。結論から言うと、卒業はできなかったんです。

 

――そうだったんですか。

 

学びたくて入った芸術学部のデザインや工芸の授業にもまったく出られずに、留年したり休学したりして、復学するもやはり授業には出られず。そんな私を見て、同級生でちゃんと卒業して地元で就職していたたいじさん(当時は彼氏)が「福井においでよ」って呼んでくれたんです。それで、大学も中退して、中身スカスカのまま福井にやってきました。

 

――たいじさん、すごい包容力。かっこいい。

 

本当に有難かったです。そうやって「たいじさんの彼女」の状態で福井に来て、たいじさんのご実家に居候させてもらい、ちゃんと結婚したのは2年後です。その間、元気になったりまた落ち込んだりを繰り返しながら徐々に回復していたのですが、それを何も言わずに待っていてくれたお義父さんとお義母さんにも本当に感謝しています。集落に住んでいて、周りの目もあっただろうに、守ってもらっていたと思います。

 

 

――なんだかちょっと泣きそうになるお話です。ご家庭からして愛情深いんですね。話は戻りますが、そんな状態で福井に来て、頼る人はいても、自分の職業というか生きる道はまだ見つからないわけですよね。それはどういう風に探していかれたのでしょうか。

 

最初はちょっとしたバイトや派遣の仕事をつないでいたのですが、元気になってくるにつれて、「好きなことを仕事にしたい」と思い始めました。それで、カフェが好きだからカフェで働いてみようと思い、福井市の自家焙煎珈琲屋で働き始めました。カウンターに立って珈琲を煎れるだけでなく、お店のフリーペーパーを書かせてもらったり、お店の移動カフェ部門に携わったり、仕入れ額、販売価格、お手伝いさんの給料なども考えながら働いていましたので、大変だったけれども本当にいい経験でした。

 

――へぇ、一つの店でかなり幅広くお仕事を経験されたんですね。

 

はい。あと、同時に屋台の営業許可を取り、時々イベントなどでコーヒーだけの小さな移動カフェをやっていました。これは、自分の店として。

 

――すごい、楽しそう! というか、聞いていると、とてもアクティブな印象を受けます。

 

楽しかったです。でも、だんだんまた苦しくなってきてしまったんです。なぜ苦しく感じるのか原因もわからないまま、イベントにも出たくなくなってきてしまい……。「好きなことを仕事にすれば人の役に立てて、自分も幸せにいられると思ったのに、ちがうの?」「自分はどうやって生きていけばいいんだろう」と、悩む日々でした。

 

――なるほど。カフェ自体、好きは好きなのに、何かが違うと思い始めた。「頑張りすぎた」みたいなところもあったんですかね。

 

そうでもありますし、また今は別の解釈をしているのですが。悩みの渦中にいた当時はいくら考えても答えが出なかったので、旅に出て冷静に自分を見つめなおしてみようと思い、それで渡ったのがずっと行きたいと思っていたインドでした。

 

――インド。私は行ったことはないですが、非常に面白そうな国ですよね。

 

はい。建築、宗教、芸術、音楽、哲学、数学、料理、手仕事……インドはどんな分野でも深い歴史があって、非常に面白い国なんです。そういう国を旅したら、私は何に出会うのかなと。もし私が本当にカフェをやりたいと思うなら、インドで料理と出会うのかなぁ、なんて。

 

 

――ワクワクします。何に出会ったのでしょう?

 

料理、じゃなかったんですよ。インドを旅していて、心臓がドキドキするくらいに私の心が動いたのは「村の地面に近い生活」や「人間らしい生き方」、そしてインドの人たちが作る「手仕事の工芸品」だったんです。

 

――生き方そのものとは、具体的にはどういう感じなんでしょう。

 

神様を大事にし、祈るインドの人たちは、毎日を真剣に生きていたし、染の村では冷たい水の中で布を洗う人たち、土の上に布を干す人たち、ひたすら木のハンコをトントントンと押す人たちの、無心の仕事ぶりに感動しました。独立の父で手仕事復興に尽力したガンジーの話をするインドの人たちの目が輝いていた事は忘れられません。それから、家族や友達の一大事には仕事そっちのけで飛んでいき、喜びも悲しみもシェアしあう生き方を素敵だと思いました。日本で「あれも違う、これも違う」と言って、自分や自分の仕事のことばっかり考えていた私という人間の小ささに気づけたし、幸せに生きるためのヒントをこの国でたくさん見つけた感じがしました。そのとき、「たくさんの気づきをくれるインドを仕事にしたい!」「日本で私と同じように苦しい思いをしている人たちに、インドのこの感覚を届けたい!」と強く思いました。

 

――そこからツジさんの人生をかける仕事へとつながっていくのですね。さて、ここからdesign labo chica設立に至るまでと、設立後のお話は後編でじっくり伺うことにします。

 

 

【お店情報】

店名 design labo chica(布と雑貨のショールーム)

住所 福井県丹生郡越前町小曽原54-43-11
TEL 070-4222-1458

URL https://www.design-labo-chica.com/
https://www.facebook.com/design.labo.chica

※平日予約制。土曜営業。日曜定休。

※イベントなどで閉めている場合もございますので、ご来店前にweb等でご確認ください。

 

 

 

(取材・執筆 吉田郁)

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2018.08.27【特集】何度転んでも諦めない。 起き上がるから、光が見える。~後編~

*前編はこちらから「【特集】何度転んでも諦めない。 起き上がるから、光が見える。~前編~」

 

――前回はオカフェ。設立の経緯まで伺っていました。カフェの物件を紹介されたんですね。

 

はい。結局その物件とは違うところに決めましたが、具体的に紹介されたことで、私自身が「自分の夢を叶えよう」と決意したのが大きかったです。

 

 

――なるほど。実際にお店を始めてからは、どうですか、順調ですか。

 

はい、おかげさまで!私はとにかくお客様に恵まれていると思います。

 

一人で切り盛りしていて、料理もお菓子作りもサービスも私だけですから、お待ち頂くこともありますし、不定休でそれなりに休みも多いためご迷惑をおかけしている面はあると思います。

 

それでも皆さま、SNSで開店している日を調べて足を運んでくださるので、本当に感謝です。

 

あと、なんでも一人でやることで、いいことも悪いことも全部自己責任だと思えるのはとても気持ちいいですね。お客様に喜んでもらえたときは本当に嬉しいし、強いやりがいを感じます。

 

――反応が全部ダイレクトに感じられる働き方が、ご自身にも合っていたのかもしれませんね。これからお店をこんな風に発展させたい、という展望はありますか?

 

大きな野望はないのですが、いろんな国に行くのが好きなので、旅先で出会った素敵なものや美味しい味を少しずつ取り入れながら、新しく変わっていく部分と変わらない部分をどちらも大切にしていきたいですね。

 

あと、いろんな国の人が集まって、交流できるような雰囲気のお店にもしていきたいなと。

 

オカフェ。という場所が、人と人との架け橋になれたら最高だなと思っています。

 

 

――素敵ですね。そういうお店があると、そこからどんどん縁が広がって、その街での暮らしそのものに魅力が出てきますね。最後に、女性たちに向けて何かメッセージをお願いできますか。いつもは「福井の女性たちに」と聞くのですが、今回はもう、話が大きかったので、女性全般で(笑)

 

今日、いろいろお話しながら自分の人生を振り返っていたのですが……思えば、これまで無駄な抵抗を力づくでしたこともたくさんあったものの、大抵うまくいかなかったなと。

 

流れに身を任せたほうがうまくいくことが多かったように思います。

 

それは、ただ周りに合わせるという意味じゃないんです。自分で「やる」と決めたら、あとは淡々と、力を抜いて、日々少しずつでいいからやり続ける。

 

そういうことが大事なのかなと感じています。

あと、過去にあったつらいことも楽しいことも、すべては今につながっているので、今起きている良いことにも悪いことにもちゃんと感謝して、起きた出来事の意味を平等に受け入れたいなと思って生きています。

 

なかなか難しいときもありますが……(笑)。

 

でもそういう心がけが、結局は、自分と自分の人生を肯定することになるのかなと思えるんです。

 

女性へのメッセージというか、自分が人生から学んだこと、みたいになっていますね(笑)。まとまらなくてすみません。

 

――とんでもないです。私が今日、岡本さんとお話して抱いた印象は、瑞々しい、ですね。自分の心に正直に生きて、挑戦を続けている人だからこそ、こんなにもイキイキとされているんだなと思います。そして、いろんな苦難を乗り越えて、自分の意志で夢への道を切り拓かれたお話は、

多くの人の勇気になると思います。本日は貴重なお話をありがとうございました!

 

(取材・執筆 吉田郁)

 

 

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