こんにちは。八百屋テクテクです。
今回は、野菜そのものではなく、野菜を販売するお店にこだわってみませんか、という話です。
「えっ、野菜を売ってる店なんて、どれも同じじゃないの?」
なんて思ってる方、いらっしゃると思います。
私も、この仕事を始める前までは、そう思っていました。
お菓子や飲料水、カップラーメンなどは、確かにどこで買っても品質に違いはありません。
しかし、野菜は違います。
「どれが美味しい野菜かを心得ており、少しでも多くの人に、この美味しさを楽しんでもらおうと努めているお店」と、「ただ在庫を売り場に並べているお店」とでは、野菜を買う楽しさが違ってきますし、「常に新しい野菜を販売しようと努めているお店」と、「在庫を貯めすぎて傷んでいるけど気にしないお店」では、鮮度が違います。
「でも、それは内部の事情なので、なかなか外からは見分けることができないんじゃないの……?」
と思われるかもしれません。
確かに、そうです。
私も占い師やメンタリストではないので、売り場の店員さんの心の中まで読むことはできません。
でも、店員さんの心の中は、売り場に反映されるものです。
売り場は、創作物です。
創作物には、作り手の心がはっきりとでてくるものです。
音楽とか絵画とかで、よく言われていることですよね。野菜売り場も同じなんです。
前置きが長くなりましたが、今回は、いい店員さんがいる野菜売り場はどんな売り場なのか、という点をご紹介いたします。
ちなみにこれは、私の独断と偏見というわけではなく、実際にスーパーのバイヤーなどが他店を評価するうえで参考にしている項目でもあります。
みなさんもバイヤー目線で、普段利用しているお店を評価してみてくださいね。
★ポップアップがたくさんある
みなさん勝山水菜って買ったことありますか?
鯖江名産の吉川なすはいかがでしょう?
美味しいのは、名産品だけではありません。
紫さつまいも、カラフルにんじん、坊ちゃんかぼちゃ、フルーツトマト、カンタケ……どれも非常に美味しい野菜なのですが、買ったことがありますか?
えっ?売ってない?
確かに年中あるわけではないのですが、時期になれば必ず、かならず、野菜売り場に並ぶ野菜たちです。めちゃくちゃ美味しいので、食べてほしい、買って欲しいと青果業界全体が思っている野菜だからです。
なので、その美味しい野菜たちを、おすすめしてくれる店が、意識が高いお店と言えるでしょう。
もっとも、店員さんが直接おすすめしてくれるお店は、昨今なかなかありませんよね。
そのかわり、ポップアップをしてくれています。
特徴だけでなく、食べ方や保存方法、いろんな角度で教えてくれています。
この、ポップアップがどれだけ丁寧に作られているか、また売り場にたくさんあるかが、評価のポイントとなります。
★きゅうりとほうれん草とブロッコリーが綺麗
野菜が適切に管理されているかどうかを見極めるには、この3品を見ればわかります。
なぜなら、この3品は裸で販売されることが多く、なおかつ鮮度劣化が早いからです。
この3品は、販売が特に難しい野菜なのです。
この3品が綺麗なら、売り場の野菜全部が適切で、「美味しい野菜を食べてもらいたい」という意識が高い売り場だと思って大丈夫です。
逆にシナシナなものが売り場に並んでいるようなら、「シナシナだけど食べられないこともないし」という店員さんの意識が垣間見えます。
★グレープフルーツ、レモンなどの輸入柑橘類がツルツル
店員さんが、在庫をこまめに回転させることに関心を割いているかどうかを判断するには、外国産のグレープフルーツをみるといいと思います。
レモンでも結構です。
表面をかるく触ってみましょう。
硬くてすべすべしていれば、それは並べられたばかりの柑橘であり、ちゃんと在庫が回転している証拠です。食べれば、みずみずしい柑橘が楽しめるでしょう。
逆に柔らかかったり、シワがあるものは、長時間売り場にいたせいで水気が抜けてスカスカになったということです。
★閉店間際に行くと野菜がすっからかん
閉店間際まで売れ残った野菜は、どうなるのでしょう。
そうですね。次の日の朝にまた売ります。
次の日の朝に入荷した野菜と一緒に。
あるいは、見劣りするので、その日に入荷した野菜はいったん倉庫に保管しておいて、前日の売れ残りの野菜を売り切ってから出すかもしれません。
野菜は、鮮度がなにより大事です。
なので、こうならないよう、意識の高い店員さんは野菜をその日のうちに売り切ってしまいます。
当日のうちに野菜を売り切って、翌日また新しい野菜を並べる。
これが良い野菜売り場とされています。
とはいえ。
最近は遅くまでお仕事をなさっている方のために、夜遅くまで十分に野菜を用意しているお店が多いです。
なので、閉店間際に野菜があることが悪いとは決していえないのですが、同時に、売れ残りを翌日にまわしているということもまた、考えなければいけません。
いかがでしたでしょうか?
実は、これをすべて適えている野菜売り場は、ほとんどありません。そのぐらい、非常に難易度が高いことなのです。
とはいえ、野菜を扱う人として、この理想に近づけるように努めていくことが、いい売り場の条件だと思っています。
みなさまも、ぜひ、上記の項目を参考に、いい野菜売り場を開拓していただきまして、美味しくて楽しい野菜ライフを送ってみてくださいね!