―――本日は、and.fukui主催のマルシェイベントにも出店して頂いた「Berceau(ベルソー)」の兼定 香織さんにお話を伺います。兼定さんが作る身体に優しく美味しいランチやスイーツは、小さな子ども連れでも安心して通えるとママ世代を中心に大人気で、私の周りでもファンが多いんです。兼定さんは、いつ頃から料理を作ることが好きだったのですか?
実は幼稚園の頃から包丁を持ち、暇さえあれば料理の本を見てお菓子や料理を作っている子どもでした。私の母が何でも手作りする人で、幼い頃からおやつは手作りが当たり前の環境で育ち、おやつ作りのお手伝いをするのがとても楽しかった記憶があります。特にクッキーを焼くのが楽しくて、毎週作っていましたね(笑)
―――え~!!そんな幼い頃から包丁を持って料理していたんですか!?凄すぎます(笑)お母さんのお手伝いが、料理に関心を持つきっかけとなったのですね。
そうですね。そのおかげで、幼稚園の頃にはりんごも1人で剥けましたし、小学生の頃には父が釣ってきた魚を捌いていました。
―――さすが(笑)その頃の経験がすべて、今の仕事にも繋がっているのですね。お店を開業する夢はいつ頃から芽生えていたのでしょうか?
栄養士を辞めた頃からでしょうか…いつかは自分のお店を持ちたいと思うようになったのは。栄養士として働いていた頃は、決められた栄養価や食材、味付けで献立を作成し食事を作っていました。もちろん栄養士の仕事にもやりがいを感じていましたが、楽しいという気持ちは小さかったように思います。
―――もともと栄養士をされていたのですね。自分のお店を開業するって、とても大きな決断だと思いますが、「やってみよう!」と決意するきっかけは何だったのですか?
開業を決める前は、「店をオープンしたい。でもまだスキルが足りないんじゃないか…」という不安の気持ちが強かったです。でもそのとき、私の想いを一番応援してくれたのが家族でした。夫や実家の家族が「あなたなら大丈夫。できるよ!」と言ってくれて、その後押しのおかげで開業を決意することができました。今でも家族の支えにはとても感謝していますね。
―――Berceau(ベルソー)という店名には、フランス語で「ゆりかご」という由来があるんですよね。
そうなんです。ゆりかごのように居心地の良い場所と空間を、来て下さるお客様にご提供したいという想いを込めて名付けました。
―――とってもお洒落で素敵な由来ですね。ついつい長居して、ゆっくりお喋りしたくなっちゃいそう!
店内には小上がり席もあるので、小さな子ども連れのお客様も多くご利用して下さっています。以前お客様から「ずっと前から通っていたような…そんなお店です。すっかり、あって当たり前のお店です」というお言葉を頂いたことがあり、それがとても嬉しくて。「Berceauがお客様にとって、そんな存在でありたい」と私自身ずっと思っていた願いでもあったので、本当に嬉しかったですね。
―――お客様からの言葉はモチベーションにも繋がりますね。ちなみに、開業してからこれまで大変だったと感じることはありますか?
開業したばかりの頃は、色々なSNS情報や人の言葉に心が揺らいだり、自分と他のものを比較して自信を無くしたり気持ちが辛くなってしまったり…ということがありましたね。ただ最近では、カフェ経営にも慣れてきて、自分の考えをしっかり持てるようになりました。
―――そうだったのですね。今の時代、SNSを通じて個人が簡単に情報を発信できる故に、他人と比較して自信をなくしてしまう気持ち、とてもよく分かります。特に開業当初は初めてのことばかりで、何が正解かも分からない状態ですもんね。
そういう経験も、人生の糧になっているのかもしれません。何より自分と他のものを比較しなくなったことが、この仕事を通して一番成長できたことだと感じているので。何かと比較しながら頑張ったり、生き続けることはとても辛いですもんね。
―――他人を意識しながら頑張り続けるのは、確かに疲れちゃいます。自分は自分として軸をしっかり持てるようになれたのは、兼定さんにとって大きな変化だったのですね。
―――「Berceau」では、低農薬・無農薬野菜やオーガニック食材を使った料理を提供されていますが、こだわった理由を教えてください。
添加物大国である日本で産まれ育った私たちの体の中は、きっと添加物だらけなのだと感じて…。それで有機のものに興味を持ち、摂取するようになりました。だからお客様にも、なるべく身体に負担の少ない料理を提供したいと思い、オーガニックや福井県産の野菜などこだわりの食材を選んでいます。
―――身体に優しい食材を使ったランチやスイーツは、小さな子どもにも安心して食べさせられるので、ママ達も嬉しいですね。お客様の健康を第一に考える兼定さんの優しさが込められていますね。そういえば、Instagramで拝見したのですが、オーダーケーキの製作もされているのですよね。とっても可愛くて心奪われちゃいました(笑)
ありがとうございます(笑)オーダーケーキを製作しているときが私自身とても楽しく、やりがいを感じています。お客様がケーキを受け取りに来られたときの「可愛い~!!」や「素敵~!!」「ありがとう!」という第一声と笑顔を見ると、疲れが一気に吹き飛びますね。
―――こんな素敵なケーキでお祝いされたら、きっと嬉しさ倍増ですね!一つ一つ違うオーダーケーキは、どのようなインスピレーションをもとに作っているのですか?
ご予約の際、お客様との会話で雰囲気や好みを感じ取り、ケーキをお作りしています。「全てお任せで」というお客様には、私が作りたいケーキのデザインで仕上げており、本当に感謝しかありません。
―――お客様との会話の中からインスピレーションを感じ取り、毎回オリジナリティ溢れる素敵なケーキを作り出しているのですね!自分のために作ってくれる「特別感」が感じられますね。
もっと幅広いリクエストにお応えできるようになるためには、まだまだ技術を身につけなくてはいけませんが、これからもより多くのお客様に喜んでもらえるよう努力したいと思います。
―――これから挑戦したいことはありますか?
料理のこともケーキのことも、今までスキルがなくてできなかったこともできるように、これから更に勉強していきたいと思います。常に進化していく「Berceau」をお客様にお見せしたいと思っています。
―――「Berceau」の更なる進化、楽しみすぎます!!その兼定さんの向上心も、お客様を惹きつける魅力なのかもしれませんね。
私の好きな言葉に「現状維持は衰退の始まり 常に進化せよ」という言葉があります。仕事でもプライベートでも大切にしている言葉で、常に進化したいと思いながら過ごすようにしています。
―――私も心に留めておきたい言葉です。常に自分をアップデートしていく気持ちを持つことが大事なのですね。最後に、福井で頑張っている女性に向けてメッセージをお願いします。
福井の女性は、ずーっと頑張り続けているように感じます。心と体を健やかに保つためにも、気分が乗らないときや疲れているとき、たまには頑張る事をやめてみるのも良いかもしれません。私自身もそれが出来るようになったのは最近のことです。 日々頑張っている自分にご褒美をあげたんだ、と思ってもらいたいです。そのためには、やはり家族の理解と協力が必要だと思いますので、家族のみなさん、どうぞご協力をお願いします。
―――いつも頑張り続ける自分に、たまにはご褒美をあげてほしいですね。どうしても、休む=サボっているという罪悪感が出て、頑張り過ぎる女性が多いような気がしますし。少しずつでも、自分を労わってあげられる女性が増えるといいですね。ぜひ疲れたときは、ひと休みに「Berceau」を訪れてみてください。美味しくてあったかい、兼定さんのおもてなしにきっと心も体もリラックスできますよ。兼定さん、本日は素敵なお話をありがとうございました。
ありがとうございました。
(取材・執筆 清水 千春)