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【特集】「等身大の結婚式」で、想いを伝える喜びを、もっと。

プロフィール

帆山果那(Sincere Lily ウエディングプランナー)

鯖江市出身。仁愛女子短期大学を卒業後、武生高砂殿に就職。婚礼全般についての基本を6年間学び、ウエディングプランナーとしてデビュー。その後さらに6年間、福井市高柳にあるローズガーデンにてチーフプランナーとして約500組のカップルの結婚式プランニングと新人プランナーの育成を担当。2015年、福井駅前に新生シンシアリリィとして結婚式場を立ち上げる。現在までにチーフプランナーとして100組の結婚式を担当する。

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――今日はご自身で結婚式場を立ち上げられ、チーフプランナーとしてご活躍の帆山さんにお話を伺います。短大を出てから今日まで、帆山さんはずっとウエディング業界にいらっしゃるんですね。もともとウエディングプランナーになったきっかけは何だったのでしょう?

 

これは結構単純でして、当時の就職雑誌に載っていたからです。ウエディングプランナーって、一生忘れられない結婚式を創ることのできる仕事なんだと思い、志すことにしました。

 

――なるほど。そこから始まって17年間もウエディングプランナーをされているわけですから、きっと自分にぴたりとハマるものがあったのだと思いますが、結婚式場まで自分で立ち上げてしまう方はなかなかいないと思います。その背景にはどんな想いがあったんですか?

 


まず、私が結婚式の一番素晴らしいと思うポイントは、日ごろ言えない感謝の想いを直接伝えあえるところなんですね。

 


――ふむふむ。

 


それは、花嫁の手紙でイメージするような「今までありがとう」だけではなく、出席した方々から二人への「幸せになってね」も含まれています。

 

――それ大きいですよね。私も自分の結婚式を挙げた時に思いました。「直接祝ってもらう」って、本当に人生に刻まれますよね。

 


そう、そうなんです。それって式を挙げないと味わえないことなんですよね。私もいつもそのシーンに立ち会うたびに、胸がいっぱいになります。で、そういう「想いを伝えあう」ことが結婚式の大事な価値だとすると、それ以外の部分、たとえば形式的なことや見た目の豪華さというのは必ずしも必要ではなく、もっと融通がきいてもよいものだと思っているんです。それなのに現実は、結婚式のあまりの負担感や、自由のきかなさが嫌になって、「記念写真だけで済ますことにしました」とおっしゃるカップルを何組も見てきました。もっと自由でその人らしくて、負担の少ない結婚式が福井県内で当たり前になっていけば、「式を挙げよう」と思うカップルも増えるんじゃないかなと考えたのが式場を立ち上げた最大の理由です。福井の結婚式の当たり前を変えようという気概でやっています。

 

 

――福井県というのが、伝統的な式を大事にする土地柄だというのもあって、余計にその問題意識が芽生えたのかもしれないですね……。でも確かに、内容だけでなく、お金の負担というハードルも若い人にとっては馬鹿にならないんですよね。

 

 

そうなんです。私はウエディングプランナーですから、もちろん「式を挙げて欲しい」という立場です。でも結婚の本質は結婚式ではなく、式を挙げたあとの二人の生活にあると思っていて、そこにちゃんとお金を残しておいて欲しいんです。生活費だけでなく、子育て用の貯金や老後の蓄えだって必要ですし。結婚式がそこに食い込みすぎてはいけない。

 

――いやぁ、ウエディングプランナーでそこまで考えてくれる人がいるなんて、ありがたい……。

 

でも、そういう結婚式を実現しようとするがゆえの大変さもあって。

 

――どんなところでしょう?

 

形式にとらわれない、ということは、毎回ゼロから作る要素が大きいということです。それでいて、結婚式ですから、招待した方に失礼がないように気を配るのは昔ながらの結婚式と同じ。つまり、「毎回前例がないのに、絶対失敗してはいけない」というところにいつも挑戦しないといけないんですよね(笑)。

 

――確かに!新しい脚本の新しい舞台の「初演」だけを連続して大成功させていくような感じだ、これは大変だ(笑)。ちなみに、過去にはどんなオリジナリティあふれる式があったんですか?

 

 

たとえば、新郎新婦それぞれのご親族様が栽培された有機野菜を使って披露宴のお料理を作ったことがあります。そのときは、当社社長と料理長が畑まで野菜をとりにいきまして(笑)、新郎のお母様と畑で記念写真を撮って、その写真をフライヤーにして席次表に挟んだりもしました。県外のゲストからすれば、新鮮な有機野菜はお金を払ってでも食べてみたいものですから、それはそれは喜んでいただけました。

 

→野菜をご提供くださった新郎のお母様と料理長

 

 

――わ、それ、絶対美味しいし、何よりめちゃくちゃあったかい!

 

ありがとうございます。この結婚式のときは、ゲストの皆さんが披露宴終了後に野菜をくださったご親族様のもとまで「ご馳走様でした!」と声をかけにいかれていたのもとても印象的でした。また、式のあとの結婚生活でも、お互いの親族の中で「あのとき野菜をくれたおじいちゃんが~」と話題にのぼっているようで、そんなお話を聞くと本当に嬉しいですね。

 

――なんて、素敵な。結婚式の工夫ひとつで、新しく人のつながりを生み出せるなんて。

 

こういうことは、今のシンシアリリィのスタッフだからこそできていることだと思っています。そして、「私たちだからこそ実現できた」と思えることがやりがいになっています。さらに新郎新婦様から感謝や喜びの言葉をいただけたときは、本当にこの仕事をしていてよかったと思えますね。

 

――プロのチームワークがないと実現しないことですね。ちなみに帆山さんは、仕事をする上でモットーとしていることはありますか?

 

先ほど、結婚式は失敗できない、成功して当たり前と申し上げましたが、「成功」が最低限のラインだとすると、そこに+αの価値までつけていこうというのが私のモットーです。計画した内容がつつがなく終わることだけではなく、「そこまでしてくれると思っていなかった」とか、「想像以上に料理が美味しかった」とか、そんな感謝のお言葉をいただけるように精進しています。そういうお褒めの言葉をもらうことで、私自身がまだまだ成長できると思えますしね。

 

――うーん、向上心がすごい。「幸せな一日」を作っているのは、こういうプロ意識だったんですね。では最後に、福井の女性にメッセージをいただけますか。

 

福井は家庭と仕事の両立が当たり前な方が多く、私の同世代を見ていても、みんな必死に働いています。でも頑張り屋さんな分、ついつい我慢をしてしまっていて、「子供がいるからって仕事から早く帰りたいなんて言えない」とか、逆に「本当はもっとキャリアアップをしたいけど、家庭もあるのにそんなこと言えない」とか、本音を隠して結果的に自分の望みを犠牲にされる方がたくさんいらっしゃるように感じます。そんなに全て100%頑張らずに、今は一番優先したいことに100%の力を注ぎ、それ以外はなんとなく……で過ごしてもいいと思っています。まわりの方に助けてほしいと声を上げてもいい。何より、今しかない時間を大切に、目の前の人に愛を注いでほしいです!

 

 

――助けを求めるのがうまくなって、少し余裕ができて楽しさが出てくると、それを見た若い世代もまた「あんな感じでいられるなら、私も子供産んでみようかな」とか「仕事辞めずに続けてみようかな」とか思ってくれるかもしれないですしね。そういう意味でも余裕は大事……。ちなみに帆山さんはお休みの日はどんな風に息抜きをして過ごしておられるのでしょう。

 

いろいろありますが、愛犬のポメラニアンのポン助係長の世話などを……。

 

――ポン助係長!絶妙に、チーフ(主任)の一階級上じゃないですか(笑)。うっかり帆山家の家庭内序列が見えてしましたが、犬がいるのは非常にうらやましい。たくさん癒されてください!今日はどうもありがとうございました!

 

 

(取材・執筆 吉田郁)

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