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【特集】親子の笑顔が生み出す、新たな可能性を。

プロフィール

西野 有香(Lien Projet 親子時間プランナー )

福井県鯖江市在住。2児の母。親子や家族で参加できるイベントの開催をきっかけに、親子体験イベントの企画・運営や参加の楽しさにハマり “大人も子どもも本気で楽しむ” をテーマとした任意団体「Defi」を設立。講師業など個人活動を行う窓口として、団体の母体でもある「 Lien Projet (リアン・プロジェ)」を設立。また、福井県人権講師団講師/人権ファシリテーターとして、子どもに関わるすべての人達に向けた人権啓発活動、セミナーやワークショップなどの講師活動も行っている。現在は、新たに「おもちゃの図書館&雑貨カフェ Petit(プティ)」をオープンし、子育て家族がワクワクできる空間を提供している。

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―――今日は、親子の絆づくりを応援するさまざまなイベントの企画・運営を行い、「親子時間プランナー」として活躍されている西野 有香さんにお話を伺います。クラウドファンディングサービスで資金を集め、昨年12月にオープンした「おもちゃの図書館&雑貨カフェ Petit(プティ)」には、どのような想いが込められているのですか?きっかけとなった出来事を教えてください。

 

 

毎年鯖江市で開催されている女性の活躍を推進するイベント「OCサミット」に、私は実行委員として参画しており、昨年度の第3回目のサミットでは、たくさんのを集めるという趣旨でサミット当日に向けてワークショップをいくつか開催しました。すると子育て関連について、「雨の日でも遊べる場所がほしい」「歳が離れた兄弟姉妹でも一緒に行ける場所がほしい」など、たくさんの「場」を求める声が出てきたんです。

 

 

―――毎日の子育てを頑張るママ達の貴重な意見がたくさん集まったんですね。

 

 

それを受け、サミットでは自分にできることを宣言し、自分のまちにできることを市に提言しましたが、結局目に見える形での変化には至らず。「せっかく声に出したのにやっぱり何も変わらなかった」声を出してくれたママ達が、そんな風に感じてしまうのは残念だしもったいない、そう危機感を強く感じました。

また、私はこれまで親子・家族が楽しめるさまざまなイベントや学べる講座の企画・運営をしてきて、孤独・迷い・不安を抱えながら頑張る方々とたくさん出会ってきました。それによって、身近な情報や経験をシェアすることやいろんな人とつながることの大切さを痛感してきました。

 

だからこそ、ここで「私にできることは何か?」と考えた結果、親子・家族・地域の皆さんが気軽に利用出来る「おもちゃの図書館&親子雑貨カフェ Petit(プティ)」をオープンさせよう!との想いに繋がりました。ここには、 小さなつながりがたくさん生まれる場、そっと背中を支える場になりたい、そんな願いが込められています。

 

 

―――「親子が集まれる場」を求めるママ達の切なる想いを、カタチとして実現させたのが「おもちゃの図書館&雑貨カフェPetit(プティ)」なんですね。私も子どもがいるので、子どもを連れて気軽に遊びに行けて、情報交換やおしゃべりができる場所って、すごく有難いです。特に生まれたばかりの頃は、不安や孤独感もいっぱいだから、元気になれてホッと一息できる場所があるだけで救われると思います。

それに、おもちゃの貸し出しができる拠点って、今までありそうで無かったですよね。「こんなサービスほしかった!!」と思わず叫びそうになりました(笑)

 

 

これまでイベントや講座の際に団体としておもちゃを借用していたので、これが個人でも借りれるといいなという思いがあったんです。子ども達っておもちゃをすごくほしがるけれど、意外とすぐに飽きてしまったり別のものをほしがったりするじゃないですか(笑)それに、おもちゃに記載されている対象年齢ってあくまで目安なので、まだ早いだろうと思っていたけど子どもが熱中したということもありますし。

 

 

―――分かります~!!結局、ほしがったけれど家では全然遊ばなかったということも多かったです(涙)おもちゃ選びで失敗したな~って経験もたくさんありましたね。

 

 

プティでは、おもちゃも性別・年齢関係なく借りられるようにしてありますし、いろんなお試しができるようにジャンルを問わず、昔ながらのものから最新のものまで取り扱うことを目指しています。 子ども達を遊ばせながら、ゆっくりカフェや雑貨選びを楽しむということは私自身も子ども達がもっと小さい頃に「したい!」と思っていたことだったりもします。

 

 

―――カフェや雑貨販売も併設されているのは、ママ達にとっても嬉しいですよね。実際に数ヵ月運営されてきて、利用される方々の反応はどうですか?

 

 

「プティのおもちゃに熱中してくれるおかげで、自分の時間ができて家事がはかどる」とか、「ネット動画に出ていた大好きなおもちゃでたくさん遊べて嬉しそう」とか、「子ども達を遊ばせながらカフェで友達とゆっくり話できるのが嬉しい」など、親子でプティに来ることを楽しみにしてくださる方も多く、本当に嬉しいですね。現在は毎日オープンしておらず、週1~2回というカレンダー営業ではあるのですが、市内だけでなく市外からの常連さんも続々と増えています。

 

 

―――プティで過ごす時間が、日々の楽しみの一つになるって素敵なことですよね。これからも常連さんはどんどん増えていきそうですね。プティに遊びに来ることで、心の余裕が出来たり、子育てが楽しくなったり、きっと気持ちに変化が生まれたママも多いと思いますが、西野さんご自身も運営をする中で変わったと感じることはありますか?

 

 

これまでは主催する企画のために借りられる場所を常に探していましたが、このプロジェクトでおもちゃの貸出の拠点というだけでなく自分自身の活動の拠点を創ることができたのが大きな変化ですね。 いろんな活動や事業を抱えているので、店舗の運営にじっくり集中することがなかなか出来ていないのが現状ですが、それでも自分の事業の時間・講師活動の時間・属している他団体での活動の時間・週4日の仕事の時間・家族の時間・夫婦の時間・自分の時間忙しくなった分、以前より時間の使い方にメリハリが出たように感じています。

 

 

―――現在、活動する中で一番の楽しみは何ですか?

 

 

一番の楽しみは、やっぱり親子みんなの笑顔に会うことです。子ども達はもちろん、パパやママ、お家の人も一緒になって楽しそうに過ごしてくれている姿を見ると、とても嬉しく思います。何よりその親たちの様子を見ている子ども達の嬉しそうなこと!「また来たい!参加したい!」と言ってくれることがやりがいであり次へのモチベーションになります。

それに、プティの営業やイベント・講座をする際、その準備を夫や子ども達が一緒に手伝ってくれていて。例えばクラフトワークショップだったら、プロトタイプを家族で楽しみながら作ってみたり。そんな中で、私達親子の「親子時間」を一足先に楽しんでいます。こうした時間も楽しみながら大切にしていきたいですね。

 

 

―――家族みんなで一緒に楽しく過ごせることが、子どもにとっても一番嬉しい時間なのですね。西野さんご自身も、忙しい毎日の中で「親子時間」を楽しむ工夫をされていますが、子育てにおいて大切にされていることは何ですか?

 

 

子どもを子ども扱いしないこと。必要以上に手を出したり答えをすぐに与えることはせず「困った時には道具を使おう!頭を使おう!」が我が家の合い言葉です。たまに母(わたし)を道具扱いされることもありますが(笑)

あとは、子育てについての活動をしていますが、私も人間なので、自分に余裕がない時などは理不尽に怒ってしまうこともあります。そんな時は「さっきはゴメン!」とちゃんと謝る、率直に状況を説明して場合によっては改善策を相談する、ということをしています。「悪いと思ったら謝る」「ホウ・レン・ソウ」人に言って自分が出来ていなかったら、なんの説得力もないですからね。

 

 

そして、たまに思いっきり赤ちゃん扱いをする遊びをしています。大きくなった子ども達は嫌がって逃げようとしますが、案外まんざらでもなく嬉しそうで(笑)

子ども扱いしない=一概に甘えさせないという訳ではなく、別の人格を持ったひとりの人間として扱う、子ども達自身が考え工夫する機会を大切にするということです。

 

 

―――ママも人間だから、余裕がなくなってつい感情をぶつけてしまうこともありますよね。でも失敗したと感じた後、どう接するべきなのか。まだまだ幼いからと子ども扱いしがちですが、子どもって親が思っているよりずっと考える力を持っているし、物事を理解しているのだろうなって。ちなみに、西野さんはどのような性格のお子さんでしたか?

 

 

誰に言っても信じてもらえないのですが(笑)今も昔も人見知りです。先頭をきるよりも1番最後尾でみんなの様子を見ている方が安心するタイプで。ひとりっ子の箱入り娘で過保護・過干渉・抑圧的な環境で育ち、よく一人遊びをして過ごしていました。

偏った愛情を一身に受ける中で、誰かと比べられたり、自分の言動を否定されたり、ひとりの人間として認めて(信じて)もらえていないことを子どもながらに実感していました。何気なくトイレに行くにしても、冷蔵庫一つ開けるにしても「行っていい?」「やっていい?」と伺いをたてたり。思春期からは、ひとつひとつに反抗しまくりましたね(笑)偏った愛情は心への凶器にもなりうる。

子ども時代の経験が反面教師となり、現在の育児で大切にしていることや自身の学ぶ姿勢にも活きているんだと思います。

 

 

―――そうなんですね。子どもの頃に感じていたことや経験が、親子で楽しめるイベント企画だったり、プティの立ち上げだったり、現在行っているさまざまな活動に繋がっているのかもしれませんね。今後、さらに挑戦したいことや夢はありますか?

 

 

これまでは、いろんなモノ・コトをこなすことに集中した期間でもありました。今後は主催するイベントや講座の再開、新たに企画を温めているイベントの開催実現もしたいですし、いろんな企業に協賛していただきコラボすることでもっともっとプティに”ワクワク”を増やしていきたいです。老若男女問わず頑張っている方々、なにかに挑戦したい女性の後押しができるような仕組みも考えていきたいですね。

 

 

―――新しいイベントや企業とのコラボなど、想像するだけでワクワクします!最後に、仕事や家事・育児に頑張る福井の女性達に向けて、メッセージをお願いします。

 

 

私は「女性だから」「ママだから」と可能性から目を背けてしまうのは、とてももったいないって思うんです。福井はまだまだ保守的。ハードルが高く感じてしまうこともあるかもしれませんが、大事なのは、新しいことに挑戦することこそがいいという訳でなく、働いてリーダーになることを目指そうという訳でもなく、みんな一人ひとりが性別・役割に縛られずに自分の日々をもっともっと楽しむ、ということ。性別・役割に縛られない環境を整えることも急務ですが、“自分”を大切にする、“可能性“に挑戦する、その姿勢を女性がどんどん見せていくことで、職場や家族、地域は確実に変わっていくと思います。ひとりじゃ難しくてもつながればなんとかできることも。やりたいこと、やってほしいことを声に出す・発信することも大切なツールではないでしょうか。

 

 

―――本当にそうですよね。やりたいことに挑戦する姿を見せていくことで、周りの見方は絶対に変わってくると思いますし、それが支えや応援にも繋がっていくのだろうなと思います。西野さんの活動や生き方は、たくさんの親子の笑顔と元気を生み出していると同時に、きっと女性達の「やってみよう」を後押しする大きな勇気にもなっているのだろうと感じました。ぜひみなさんも、家族で「おもちゃの図書館&雑貨カフェ Petit(プティ)」に遊びに行ってみてくださいね。本日はありがとうございました。

 

 

ありがとうございました。

 

 

(取材・執筆 清水千春)

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